2017年8月29日火曜日

蓮肉(レンニク)


補脾止瀉、益精固腎、養心安神
1.脾虚による慢性下痢、食欲不振に用いる。
多くは人参、白朮、茯苓、山薬などを配合する。例:参苓白朮散。
2.腎虚による遺精、滑精に用いる。
たとえば遺精、滑精を治療する金鎖固精丸は、蓮子に沙苑子、竜骨、牡蠣、蓮鬚などを配合したものである。
3.心腎不交による煩躁、動悸、不眠に用いる。
麦門冬、茯神、柏子仁などの清心安神薬を配合する。
このほか、不正性器出血、帯下過多などの病症に用いられる。
その益腎、固渋の作用を利用する。
※便秘の者は服用しない方がよい。

茶葉(チャヨウ)


祛風、清爽頭目、清熱降火、解暑、解熱毒、止痢、利水
傷風による頭痛、鼻閉、風熱上攻による頭痛、めまい、目の充血などに、薄荷、川芎、白芷、荊芥などと用いる。例:川芎茶調散。
傷暑による頭痛、口渇に用いる。
熱痢・熱瀉に、単味で使用する。
尿が出ないときに、単味で使用する。

山楂子(サンザシ)


消食化積、活血散瘀
1.食滞による腹部膨満感、腹痛、下痢などの証候に使用する。
山楂子の味は酸、甘で、性は温で熱はない。
脾を助け、胃を健やかにし、消化を促進する作用があり、油っこいものによる食滞を化する要薬である。
食滞には、神曲、麦芽を配合して消食化積の力を強め、腹部膨満感を兼ねてみられるものには、木香、枳殻などを配合して行気消滞する。
飲食不摂生による腹痛、下痢には、焦山芎子を10g粉末にし、お湯で調服し、消食止痢する効能がある。
2.産後の瘀阻による腹痛と悪露過多、および脱腸による下腹部の牽引脹痛などの証候に使用する。
山楂子は血分に入り、活血、散瘀、消腫の作用があり、前者に対して、当帰、川芎、益母草などを配合し、後者に対しては小茴香、橘核などを配伍して使用する。
そのほか、ここ数年来、臨床で山楂子は高血圧、冠状動脈硬化性心臓病および高脂血症の治療によく用いられている。

茵蔯蒿(インチンコウ)


清熱除湿、退黄疸
黄疸に用いる。
茵蔯蒿は苦泄下降し、清利湿熱の効能があるので黄疸を治療できる。
湿熱による黄疸にかぎり主薬とすることができる。
単味で大量に煎じて服用するか、大黄、山梔子を配合する茵蔯蒿湯を使用する。
顕著な尿量減少があれば、他の利湿薬を配伍する。例:茵蔯五苓散。
寒湿による陰黄には、相須である附子、乾姜などの温中薬を配合すべきである。例:茵蔯四逆湯。
このほか、湿疹掻痒なとに用い、清利湿熱の作用を利用する。
煎湯して内服し、あるいは患部を洗う。

蘇木(ソボク)


活血祛瘀、消腫止痛
血滞による無月経、産後悪阻による腹痛及び打撲損傷などの証候に用いる。
活血通経、散瘀止痛の効能を持つ。
婦人科の血滞悪阻の証候には、紅花、桃仁、当帰などを配合し、整形外科の打撲損傷による瘀痛には、よく乳香、没薬、血竭、自然銅などを配合する。例:八厘散。
※妊婦には使用しない。
傷科の主薬であり、婦人科にもよく用いる。
跌打損傷の瘀腫疼痛、婦女の血滞経閉痛経、産後瘀阻などに適する。
なお、「表裏の風気を発散す」といわれ、祛風和血の効能を持つので、古くは中風、破傷風に、近代は風疹掻痒に用いている。

百合(ビャクゴウ)


潤肺止咳、清心安神
1.肺陰虚、肺熱による咳嗽、喀血に用いる。
肺熱による慢性咳嗽、痰に血が混じるなどには、款冬花を配合する。例:百花膏。
肺陰虚による咳嗽、咽痛、喀血には、乾地黄、玄参、貝母などを配合する。例:百合固金湯。
2.煩躁、動悸、不眠、多夢に用いる。
発熱性疾患の回復期で余熱が残っていることによる前述した症状には、知母あるいは地黄を配合する。例:百合知母湯。百合地黄湯。

枇杷葉(ビワヨウ)


化痰止咳、和胃降逆
1.風熱燥火による咳嗽に用いる。
枇杷葉は清肺化痰、降気止咳ができるので、前胡、桑葉などを配合して、風熱による咳嗽に、桑白皮、沙参などを配合して、燥熱による咳喘に用いる。
2.胃熱による口渇、嘔吐、呃逆などの証に用いる。
枇杷葉には清胃熱、止嘔降逆の作用があるので、よく麦門冬、竹筎、芦根などを配合して使用する。

山椒(サンショウ)


温中、止痛、殺虫
1.脾胃虚寒証に、腹部の冷痛、嘔吐、下痢などに用いる。
花椒は温中止痛、暖脾止瀉の作用がある。
脾胃虚寒、脘腹冷痛、嘔吐には、人参、乾姜、飴糖などを配合する。例:大建中湯。
また単味で熱くなるまで炒めて、布袋に入れて痛いところを温熨する。
もし、寒湿による下痢には、蒼朮、厚朴、陳皮などを配伍する。
2.回虫による腹痛、嘔吐などに用いる。
本品は殺虫止痛作用がある。
単味で、あるいは複方で使用する。
常に烏梅、乾姜、黄連などを配伍する。例:烏梅丸。

膠飴(コウイ)


補脾益気、緩急止痛、潤肺止咳
1.疲労しすぎたことで生じた脾虚、気短無力、食欲不振などに適する。
飴糖には補脾益気の効果があり、桂枝、白芍、炙甘草などを配伍する小建中湯は効果がある。
2.虚寒の腹痛、喜按、喜温、食べると痛みが減るなどの虚寒に用いる。
飴糖には補虚緩急止痛の作用があるので、小建中湯は虚寒の腹痛にも有効な方剤である。
飴糖に花椒、乾姜、人参を配伍した大建中湯は虚寒の胸腹の激痛に治療効果がある。
3.肺虚による乾咳、無痰、気短、喘息などに用いる。
飴糖には補虚潤肺止咳の作用があり、単独で使用するか、杏仁、百部などの止咳平喘薬と一緒に使用する。
また民間では、稲ののぎや魚の骨を食べてしまったときに飴糖を頻回に食べると、胃腸の保護や稲ののぎや魚の骨の排出の助けになるとされている。
※飴糖は甘いので、湿熱、腹部の膨満を生じやすいので、湿熱内鬱、?腹膨満、嘔吐、痰熱、咳嗽、小児消化不良などには使用しない方がよい。

杜仲(トチュウ)


補肝腎、強筋骨、安胎
1.肝腎不足による腰や膝のだるい痛み、あるいは無力などの病症に用いる。
杜仲は肝腎を補い、筋骨を強めることができるので、前述の病症を治療する腫瘍薬となる。
よく破故紙(補骨脂)、胡桃肉などと配伍する。例:青娥丸。
また、肝腎虚寒によるインポテンツ、頻尿などに用いられる。
山茱萸、莵絲子、破故紙(補骨脂)など温補固渋薬を配合して使用する。
2.切迫流産あいは習慣性流産に用いる。
肝腎が不足すれば、正常の妊娠に影響を与える。
杜仲は肝腎を補うことができるので、流産防止作用がある。
たとえば切迫流産に使用する杜仲丸は、杜仲の粉末と大棗とを丸剤にしたものである。
『簡便単方』では、川続断、山薬を配合して習慣性流産に用いることが述べられている。
このほか、白芍、石決明、夏枯草、黄芩などを配合して肝陽上亢による眩暈を治療する。
※陰虚火旺証には慎重に用いる。

地骨皮(ジコッピ)


涼血退蒸、清泄肺熱
1.陰虚血熱、小児疳疾による発熱、骨蒸潮熱、盗汗などの証に用いる。
本品はよく清虚熱できる。
常に知母、鼈甲などとともに用いる。例:地骨皮湯。
2.肺熱咳嗽に用いる。
本品は清泄肺熱の作用があり、肺気を清粛し喘咳を止める。
常に桑白皮、甘草とともに用いる。例:瀉白散。
3.血熱妄行による吐血、衄血などの証に用いる。
本品は血熱を清め止血の効能がある。
常に白茅根、側柏葉など凉血止血薬とともに用いる。
このほか消渇尿多証に用いる。
本品は、熱邪を排し煩渇を止める効能を持つ。
養陰生津薬である地黄、天花粉を配伍し相須する。
また腎経にある浮火を瀉して虚火による止痛を鎮める。

竹筎(チクジョ)


清化熱痰、除煩止嘔
1.肺熱咳嗽、痰が黄色で粘稠、痰火内擾、煩悶、不眠の症に用いる。
竹筎には清化熱痰、清熱除煩の効果があり、黄芩、瓜萎を配合して熱痰咳嗽に用いる。
陳皮、茯苓、半夏、枳実などを配合して、胆火挟痰、犯肺擾心による多痰、胸部苦悶、煩悶、不眠、動悸などの証に用いる。例:温胆湯。
2.胃熱嘔吐に用いる。
痰熱の結合による煩悶、嘔吐を治療するときに、陳皮、半夏を配合して、黄連橘皮竹筎半夏湯を用いる。
胃虚有熱かつ嘔吐する者に、益気和胃の作用がある陳皮、生姜、人参を配合して橘皮竹筎湯を用いる。

貝母(バイモ)


化痰止咳、清熱散結
1.肺虚の慢性咳嗽、痰が少ない、咽が渇く、また外感風熱の咳嗽および痰熱の咳嗽、痰が黄色で粘稠である証に用いる。
川貝母も浙貝母も清肺化痰止咳の作用があるので、よく知母と配合されて、痰熱咳嗽に用いられる。例:二母散。
しかし川貝母の性味は凉かつ甘で、潤肺の効能も兼ねているので、よく沙参、麦門冬、天門冬など養陰潤肺の薬物を配合し、肺虚の慢性咳嗽、痰少、咽喉乾燥などの証に用いる。
浙貝母の性味は苦寒で、開泄、清火散結の作用が比較的強いので、よく桑葉、牛蒡子、前胡、杏仁など宣肺祛痰の薬物を配合して、外感風熱あるいは痰熱の咳嗽に用いる。
2.癥瘕瘡瘍腫毒および乳癰、肺癰などの証に用いる。
川貝母も浙貝母も清熱散結の効能があるが、浙貝母のほうが比較的強い、瘰癧を治療するときに、玄参、牡蠣などを配合する。例:消類丸。
瘡瘍、乳癰を治療するときに、蒲公英、天花粉、連翹などを配合し、肺癰を治療するときには、十薬、芦根、薏苡仁などを配合する。
また、甲状腺腫瘍を治療するときに、浙貝母に夏枯草、海藻、昆布、莪朮などを配合して使用されることもある。
※烏頭との配合は禁忌。

天門冬(テンモンドウ)


清肺降火、滋陰潤燥
1.陰虚燥熱による咳嗽、喀血、粘調痰などに用いる。
天門冬は、肺熱を冷まし、腎陰を養い、燥を潤し、咳を鎮める作用がある。
多くは麦門冬と一緒に使用する。例:二冬膏。
2.熱病で陰液を消耗したことによる口渇、舌の乾燥あるいは津液不足による消渇に用いる。
たとえば、気陰両傷による前述した病症を治療する三才湯は天門冬と生地黄、人参との配合である。
このほか、腸燥便秘に用いられる。
当帰、肉蓯蓉などの潤腸薬を配合して使用する。

天南星(テンナンショウ)


燥湿化痰、祛風止痙
1.多痰咳嗽、胸膈脹悶などの証に用いる。
天南星の燥湿化痰、温燥の性質は半夏より強いので、よく陳皮、半夏、茯苓、枳実などと配合し、痰湿壅滞による咳嗽、痰が多くて稀薄、膩苔、胸部苦悶などの証に使用される。例:導痰湯。
もし、肺熱咳嗽で、痰が黄色で粘稠であれば、黄芩、瓜萎などの清熱化痰の薬物を配合して治療する。
2.風痰眩暈、中風痰壅、口眼歪斜、癲癇および破傷風などに用いる。
天南星は祛風解痙の作用を持っているので、よく半夏、天麻などと配合され使用される。例:玉壺丸。
風痰が経絡を阻んで、手足の痺れ、半身不随、口眼歪斜などの証があれば、半夏、白附子、川烏などを配合する。例:青州白丸子。
破傷風に対して、防風、白芷、天麻などを配合する。例:玉真散。

蒺藜子(シツリシ)


平降肝陽、疏肝解鬱、疏散風熱、明目止痒
1.肝陽上亢による頭痛、眩暈などに用いる。
蒺藜子には平肝潜陽の効能があり、釣藤鈎、真珠母、菊花などを配伍して使用する。
2.蒺藜子には疏肝解鬱の効果があり、肝気鬱結による胸脇部の脹って苦しいなどに対し、柴胡、青皮、香附などを配伍して使用する。
3.蕁麻疹、掻痒などに用いる。
蝉退、荊芥などを配伍し、蕁麻疹、掻痒などに使用する。
4.風熱による目の充血、流涙などに用いる。
蒺藜子に菊花、蔓荊子、決明子などを配伍し、袪風明目の効果を強め、風熱による目の充血、流涙などに使用する。

艾葉(ガイヨウ)


温経止血、散寒止痛
1.出血の証候に用いる。
艾葉は温経止血の作用があり、主に虚寒性の出血証に用い、特に女性の崩漏に良く効く。
よく炒炭して使い、阿膠、地黄などを配合する。例:膠艾湯。
血熱妄行による鼻出血、喀血には、新鮮な艾葉を凉血止血の新鮮な地黄、新鮮な側柏葉、新鮮な荷葉と配合した四生丸を使用する。
2.下焦の虚寒による下腹部の冷痛、生理不順、生理痛および帯下症の証候に用いる。
艾葉は温通経脈、寒湿を逐除し、冷痛を止める作用があり、よく当帰、香附子などを配合して使用する。
このほか、艾葉を煎じて外用として用いることができ、皮膚湿疹の掻痒感に一定の効果がある。
また艾条、艾柱などを作って、焼いてその温かさを体内に浸透させ、気血を温め、経絡に透達する作用がある。
近年来、艾葉油が止咳、祛痰、平喘の作用のあることが見つけられた。

丁子(チョウジ)


温中降逆、温腎助陽
1.胃寒による嘔吐、呃逆、食欲不振、下痢などに用いる。
丁香は温中散寒で、顕著な降逆作用があり、胃寒による嘔吐、呃逆に対する要薬である。
虚寒による呃逆には、常に人参、生姜とともに用いる。例:丁香柿蒂湯。
胃寒による嘔吐には、半夏を配合する。
脾胃虚寒による嘔吐、下痢、食欲不振には、砂仁、白朮を配合する。
2.腎陽不足によるインポテンツ、下肢が無力などに用いる。
本品は腎陰助陽の効能がある。附子、肉桂、巴戟天などを配合する。

檳榔子(ビンロウジ)


殺虫、消積、行気、利水
1.多種の腸管内の寄生虫に使用する。
たとえば、条虫、肥大吸虫、鉤虫、蛔虫、蟯虫を駆除することができる。
さらに瀉下の作用があり、虫体の駆除を助けることができる。
条虫に対する治効がわりと良い。
豚肉条虫を駆除するのに、特に有効である。
南瓜子を配伍して使用すると、牛肉条虫を殺す力を強めることができる。
2.食積気滞による腹部膨満感、便秘および下痢、裏急後重などの証候に用いる。
よく木香、青皮、大黄などを配伍する。例:木香檳榔丸。
3.水腫、脚気腫痛などの証候に使用する。
水腫実証には、よく商陸、茯苓皮、沢瀉なとを配伍する。
たとえば疏鑿飲子を使用する。
寒湿に属する脚気腫痛には、よく木瓜、呉茱萸、陳皮、紫蘇などを配伍する。例:鶏鳴散。
このほか、マラリアにも用いられ、たとえばよく使われる截瘧七宝散の中には檳榔が入っている。

桑白皮(ソウハクヒ)


瀉肺平喘、利尿消腫
1.肺熱咳嗽、痰多に用いる。
桑白皮は清肺消痰の作用があり、降気平喘することができる。
その場合は、地骨皮、甘草などを配伍する。例:瀉白散。
2.浮腫み、小便不利の水腫実証に用いる。
桑白皮には利尿消腫の作用があり、よく大腹皮、茯苓皮、生姜皮などを配伍する。例:五皮散。
また桑白皮は降圧作用があるので、高血圧の治療にも用いられる。

前胡(ゼンコ)


降気祛痰、宣散風熱
1.肺気不降、咳喘、粘稠な痰に用いる。
桑白皮、貝母、杏仁などを配合して、喘咳、粘稠な痰、胸痞などの証に用いる。例:前胡散。
2.外感風熱に用いる。
前胡は辛散苦降、宣散風熱の効能があるので、外感風熱による咳嗽には一番効果が良い。
そのときはよく薄荷、牛蒡子、桔梗を配合して使用される。

香附子(コウブシ)


疏肝理気、調経止痛
1.肝気鬱滞による側胸部、季肋部痛、腹部脹痛、脱腸痛などの証候に使う。
胸肋痛には、柴胡、白芍薬、枳殻などを配伍し、肝気犯胃、中小の気機不暢には、木香、仏手などを併用し、寒凝気滞による胃痛には、高良姜を配伍する。
すなわち方剤例は良附丸である。
寒疝の腹痛には小茴香、烏薬などを併用する。
2.生理不順、生理痛、乳房が脹痛などの証候に使用する。
香附子は婦人科の常用薬で、特に肝気鬱結による生理不順、腹痛、乳房が脹る証候を随伴する場合に、よく使われる。
当帰、川芎、白芍、柴胡などを配伍し、疏肝行滞、調和気血をする 。
乳房に結塊があって、生理が来る前に脹る感じがあるものには、柴胡、当帰、瓜萎、青橘葉などを配合して、行気和営、疏肝散結をする。
※性味の苦寒は激しいから胃気を傷つけないように大量に使用することを避ける。
食欲不振や陰虚で湿熱がないときには、禁忌である。

木香(モッコウ)


行気止痛、健脾消食、止瀉
1.脾胃気滞による食欲不振、食滞、腹痛、腹部膨満感、腸鳴、下痢、渋り腹などの症候に使用する。
枳殻、川楝子、延胡索を配合して気滞による上腹部の脹痛によく使い、湿熱互阻による下痢後の渋り腹には、檳榔、枳殻、大黄、黄連などを配合して用いる。例:木香檳榔丸。
2.脾運失調による肝失疏泄に使用する。
たとえば、湿熱が積もって蒸して側胸部、季肋部に脹痛が現れ、口苦、舌苔が黄色、甚だしければ黄疸が起るようなときには、疏肝理気の作用がある柴胡、鬱金、枳殻と、清熱利湿の作用がある大黄、茵蔯、金銭草などを併用することができる。
3.脾胃気虚、運化無力による腹部膨満感、食欲不振、あるいは嘔吐、下痢、喜温、喜按、舌苔が白膩などの証に使用する。
党参、白朮、縮砂などを配合することができる。例:香砂六君子湯。
木香は補虚薬と併用すると、補う効能があって補益薬のしつこさを減じることができる。
※木香の性味は辛温香燥であるので、陰虚火旺のものには使わない方がよい。

何首烏(カシュウ)


補益精血、截瘧、解毒、潤腸通便
1.精血虚虧による頭のふらつき、目のかすみ、病的白髪、腰がだるい、下肢の無力、遺精、不正性器出血などに用いる。
製何首烏は肝腎を補い、精血を増し、かつ収斂することができる。
薬性は寒でもなく、燥でもない。
またしつこくなく、理想的な補益薬である。
たとえば七宝美髥丹は、何首烏を主薬として、当帰、枸杞子、莵絲子などが配合され、前述した精血虚虧証に使用する方剤である。
2.慢性瘧病(マラリア)、化膿症、瘰癧(頚部リンパ結節)、腸燥による便秘などに用いる。
生何首烏は補益の効力は弱く、また収斂しない。
截虐、解毒、潤腸通便の効能がある。
たとえば気血両虚の慢性虐病を治療する何人飲は何首烏に人参、当帰、陳皮、煨姜を配合したものである。
瘡瘍による腫痛、掻痒には、防風、薄荷、苦参を配合する。例:何首烏散。
『本草匯言』は、夏枯草、土貝母、香附子などを配合し、瘰癧に使用する。
精血不足、腸燥による便秘には当帰、麻子仁、黒脂麻などの養血潤腸薬を配合して用いる。
※泥状便、湿や痰が盛んな者は服用しない方がよい。

竜眼肉(リュウガンニク)


補心脾、益気血
1.心脾両虚による驚きやすい、動悸、不眠、健忘に用いる。
龍眼肉はしつこくなくて、また気機を障害しないので、よい補益薬である。
常に精神過労により心脾を損傷して引き起こした前述の病症に使用する。
単味でも効果がある。
効力を増強するために黄耆、人参、当帰、酸棗仁などの補気養血安神薬を配合することもできる。例:帰脾湯。
2.気血不足証に用いる。
たとえば玉霊膏は龍眼肉に砂糖を加えて、蒸してお湯で沖服する。
気血不足証を治療する。
※湿邪停滞による腹脹あるいは痰飲、火熱証には禁忌である。

小麦(ショウバク)

 
養心安神
1.慢性下痢に用いる。
常に益気、助陽、固渋薬とともに使用する。
たとえば脾胃虚寒による慢性下痢には、党参、白朮、肉桂、訶子などを配合する。例:養臓湯。
脾胃陽虚による五更泄瀉には、補骨脂、呉茱萸、五味子などを配合する。例で四神丸。
2.虚寒あるいは気滞による上腹部の腸痛、嘔吐、食欲不振などに用いる。
たとえば、『普済方』には、木香、姜半夏を配合して丸剤にし、胃寒による嘔吐、食欲不振、気滞による上腹部の疼痛を治療することが述べられている。

遠志(オンジ)


寧心安神、祛痰開竅、消癰腫
1.心神不安、動悸、不眠、健忘に用いる。
動悸の治療には、朱砂、竜歯などを配伍する。例:遠志丸。不眠、健忘の治療には、人参、石菖蒲を配伍する。例:不忘散。
2.痰阻心竅による精神錯乱、神志のぼんやり、驚癇などに用いる。
袪痰開竅の効果を強めるために、よく菖蒲、鬱金、白礬などを配伍して使用する。
咳嗽、痰多で喀出できない者には、杏仁、桔梗、甘草などを配伍して使用する。
3.癰疽腫毒に用いる。
遠志には消散癰腫の作用があるので、癰疽、乳房腫痛の治療には遠志を粉末にして酒で沖服するかあるいは外用する。
※潰瘍あるいは胃炎の者には慎重に使用する。

酸棗仁(サンソウニン)


養心安神、斂汗
1.不眠、動悸に用いる。
酸棗仁は養心陰、補肝血によって、安神寧心する滋養性安神薬で、当帰、白芍、何首鳥、龍眼肉などを配合して、心肝血虚による不眠、動悸などの証に主に使用する。
肝虚有熱の煩躁、不眠に、知母、茯苓などを配合する。例:酸棗仁湯。
心腎不足、陰虚陽亢による煩躁、不眠、心悸、健忘、口渇咽乾、舌紅苔少の者に、生地黄、玄参、柏子仁など養心滋腎の薬物を配合する。例:天王補心丹。
2.虚弱者の自汗、盗汗などの証に用いる。
酸棗仁には汗を収斂する作用があって、党参、五味子、山茱萸などを配合して使用する。

和羗活(ワキョウカツ)


解表、袪風湿、止痛
風寒湿表症の悪寒・しめつけられるような頭痛・関節痛などに用いる。
風寒湿痺の関節痛に用いる。
※ウコギ科(Araliaceae)のウドAralia cordata Thunbergの根。羗活の代用とする。

陳皮(チンピ)


理気、調中、燥湿、化痰
1.脾胃気滞による上腹部が脹って苦しい、曖気、悪心、嘔吐などの証に用いる。
橘皮の性は温で、気をめぐらせ、降下させることができ、理気運脾、中焦を調え、横隔膜の機能を改善する効能を持つ。
脘腹脹満、あるいは疼痛のときには、よく枳殻、木香などを配伍し、胃失和降、悪心、嘔吐のときには、生姜と配合して用いる。例:橘皮湯。
嘔吐と同時に痰熱があるものには、竹筎、黄連などを配合し、肝気乗脾による腹痛、下痢には、白朮、白芍、防風を配合して使う。例:痛瀉要方。
脾気虚による消化不良には、よく党参、白朮、炙甘草などを配合する。例:異功散。
2.湿濁中阻による胸苦しい、腹脹、食欲不振、倦怠感、軟便、舌苔が厚膩、また痰湿壅滞、肺失宣降による咳、痰が多い、気逆の証に用いる。
橘皮は脾、肺二経の気分薬で、気を調えることができるし、燥湿の効能も持つ。
前者に対して、よく蒼朮、厚朴を配合し、燥湿健脾する。例:平胃散。
後者に対しては、よく半夏、茯苓を配伍して燥湿化痰する。例:二陳湯。
※橘皮は辛酸、苦燥の性味で、温が熱を助けることができるので、舌質が赤く、津液が少ないもの、体内に実熱があるものに慎重に用いる。

2017年8月28日月曜日

紅花(コウカ)


活血祛瘀、通経
1.生理痛、血滞による無月経、産後瘀阻による腹痛、癥瘕積聚、打撲損傷および関節疼痛などの証候に用いる。
紅花は心、肝の血分に入り、性味は辛酸、温通で、活血祛瘀、通調経脈をすることができる。
前述した瘀阻による証候には、よく桃仁、当帰、川芎、赤芍薬など活血祛瘀薬を配合して使用する。
2.斑疹の色が暗く、熱鬱血滞によるものに用いる。
活血祛瘀の効能を利用して化滞するわけである。
当帰、紫草、大青葉など活血凉血、泄熱解毒薬を配合する。例:当帰紅花飲。
紅花は活血祛瘀の力が強い。
近年来、臨床で多種の瘀血阻滞、あるいは血行不暢の証候に用いられる。
たとえば冠心病による狭心痛にはよく丹参、川芎、赤芍薬などを配合して使用する。
血栓閉塞性脈管炎の気滞血瘀に属するものには、よく当帰、桃仁、赤芍薬、乳香、没薬を併用する。
※妊婦には使用しない。

忍冬(ニンドウ)


金銀花と同じく清熱解毒、疏散風熱の効能を持つほか、経絡風熱を消し止痛に働くので、癰腫瘡毒、咽喉腫痛および関節の紅腫熱痛、風熱痺痛など経絡不利に使用する。
清熱解毒の理気は金銀花より弱いが袪風活絡の効能が強い。
清熱解表薬として用いるほか、風湿による痺痛にもよく使用する。

浜防風(ハマボウフウ)


清肺養陰、益胃生津
1.肺陰虚による慢性の咳嗽、乾咳、痰が少ない、喀血などに用いる。
沙参は肺熱をさまし、肺陰を補うことができる。
燥熱が陰液を損傷して起こった乾咳、痰が少ない、咽喉乾燥、口渇には、麦門冬、玉竹、桑葉などを配合する。例:沙参麦門冬湯。
『衛生簡易方』には沙参に知母、貝母、麦門冬、鼈甲などを配合し、陰虚内熱による咳嗽、喀血に用いると述べている。
2.熱病で津液が消耗されて起こった口渇、食欲不振などの証に用いる。
麦門冬、生地黄、玉竹などを配合した、益胃湯を使用する。
もし津液がひどく損傷され、咽喉乾燥、舌質が絳で滋陰潤性がないなどが見られると、常に沙参、生地黄、石斛の新鮮品をいっしょに使用する。

羗活(キョウカツ)


解表散寒、祛風勝湿、止痛
1.外感風寒に用いる。
とくに悪寒、発熱、関節痛、頭痛などの表証があるものに適している。
羗活は発散風寒と止痛の効能がわりあいに強い。
常に防風、白芷、細辛などを配伍する。例:九味羗活湯。
2.風寒湿邪に襲われる関節疼痛、筋肉疼痛、とくに上半身の筋肉痛に対して適用する。

威霊仙(イレイセン)


袪風除湿、通絡止痛、消痰逐飲
1.風湿による痺痛に用いる。
威霊仙は、経絡を通じ、風湿を除去する効果も良いし、疼痛を止める作用も強い。
四肢の関節痛、関節の運動障害、手足の痺れなどの症状を伴う痺痛に適用している。
古法には単味で丸散剤とするものがある。
煎剤は、症状によって他の薬物を配合することができる。
たとえば風湿腰痛を治療する神応丸は、桂心と当帰を配合する。
2.魚などの骨が咽喉部や食道上部に刺さったときに用いる。
一般に単味で煎剤して、ゆっくり飲み下す。
また酢と砂糖で水煎して、服用することもできる。
このほか、痰水を除去する作用があるので、噎隔、痞咳にも用いられる。
※作用が強いので、長期間服用すると正気を損傷しやすい。
虚弱体質には慎重に用いる。

竜胆(リュウタン)


清熱燥湿、瀉肝火
1.湿熱による黄疸、陰腫陰痒、白帯、湿疹などに用いる。
黄疸を治すときに茵蔯蒿、山梔子を配伍する。
陰腫、陰痒、白帯、湿疹を治すときに苦参、黄柏、車前子を配伍する。
2.肝経熱盛による高熱、痙攣、涼厥に用いる。
釣藤鈎、黄連、牛黄などを配伍し、平肝清熱熄風の効能がある。例:凉驚丸。
3.肝経実熱による肋痛、頭痛、口苦、目赤、難聴、阻腫阻痒などに用いる。
柴胡、黄芩、木通などを配伍する。例:竜胆瀉肝湯。

牛膝(ゴシツ)


活血祛瘀、舒筋利痺、補肝腎、強筋骨、利水通淋、引血下行
1.瘀血阻滞による生理不順、生理痛、無月経、産後悪阻による腹痛および打撲損傷などの証候に用いる。
牛膝は活血祛瘀の効能があり、前述した婦人科の疾患には、紅花、桃仁、当帰などを配合して経脈を通じさせる。
腰、膝、足背部の損傷による痛みには、当帰、川芎、皮続断などを配合して使用する。
2.腰、膝のだるさと痛み、下肢無力などの証候に用いる。
牛膝は補肝腎、強筋骨の作用があり、血脈を通じ、関節を利することができ、腰膝関節のだるさと痛みに特によい。
症状によって相応する薬物を配合すべきである。
肝腎不足による腰、膝のだるさと痛みには、杜仲、川続断、桑寄生、木瓜などを配合し、虚損がひどく腰、膝が無力な者には、熟地黄、亀板、鎖陽、虎骨などを併用した虎潜丸を用いる。
湿熱下注による腰膝関節のだるさと痛みや、脚気腫痛などの証候には、よく蒼朮、黄柏、薏苡仁を配合する。例:四妙丸。
風湿による下肢関節の痛みには、木瓜、漢防已、萆薢、独活などを併用する。
3.血尿、排尿困難、排尿痛などの証候に用いる。
牛膝は利尿通淋の作用があり、当帰、瞿麦、通草、滑石などを配合する。例:牛膝湯。
4.吐血、鼻出血、歯痛、口、舌の潰瘍および頭痛、眩暈などの証候に用いる。
上部の血熱妄行の証候には、白茅根、小薊、山梔子などを配合して凉血止血をする。
陰虚火旺による歯痛、口の潰瘍には、地黄、生石膏、知母などを配合して滋陰降火する。例:玉女煎。
陰虚陽亢、肝風内動による頭痛、眩暈には、代赭石、生牡蠣、生竜骨、白芍などを配合し潜陽摂陰、平肝熄風を行う。例:鎮肝熄風湯。
このほか、難産にも用い、当帰、川芎、亀板などを配合して牛膝の引血下行の効能を利用する。

薏苡仁(ヨクイニン)


利水滲湿、健脾、除脾、清熱排膿
1.尿量減少、浮腫、脚気および脾虚による下痢などに用いる。
薏苡仁は淡滲利湿で、健脾もでき、この作用は茯苓に似ている。
水湿が体内に滞留したことによる病証に、特に脾虚によるものには適切である。
脾虚によって起った食欲不振、下痢、浮腫、腹脹、脚気浮腫などの症状には、すべて利湿、健脾薬を配合して用いられる。
また薬性が微寒であるので、清熱利湿の作用がある。
湿熱による淋病にも適用している。
たとえば『楊氏経験方』は単味で石淋(尿路結石)を治療する。
他は、湿温で邪が気分にあり、湿邪偏勝の者にも適用し、常に杏仁、蒄仁、半夏、厚朴などを配合する。例:三仁湯、藿朴夏苓湯。
2.風湿による痺痛に用いる。
本品は滲湿もできるし、筋肉の痙攣を緩解することもできる。
たとえば風湿の痺証を治療する麻黄杏仁薏苡甘草湯(本品は佐が麻黄、杏仁、甘草)を使用する。
『食医心鏡』は、単味で細末にしてお粥を作って毎日食べる。
これで痺証、水腫などを治療する。
3.肺癰、腸癰に用いる。
薏苡仁は清熱排膿でき内癰を治療する。
肺癰には葦茎(芦根)、冬瓜仁、桃仁を配伍する。例:葦茎湯。
腸癰には敗醤草、丹皮、桃仁などを配伍する。

麻子仁(マシニン)


潤腸通便、滋養補虚
老人、産婦、虚弱体質など津血不足による腸燥便秘に用いる。
その腸を潤滑にして排便する作用を利用する。
当帰、熟地黄、杏仁などの養血滋陰潤燥薬を配合する。例:益血潤腸丸。
また大黄、厚朴、白芍などを配合すると麻子仁丸となる。
熱邪傷飲あるいは素体火旺による便秘、痔瘡便秘および習慣性便秘などに適用している。

連翹(レンギョウ)


清熱解毒、清癰散結
1.外感風熱あるいは温病の初期の発熱、頭痛、口渇などの証候に用いる。
銀花を相須として、牛蒡子、薄荷を配伍する。例:銀翹散。
連翹心を犀角、蓮子心と配伍し、熱邪陥入心包、高熱、煩躁、神昏証を治す。例:清宮湯。
2.熱毒蘊結による各種瘡毒癰腫、瘰癧結核などの証に用いる。
野菊花、金銀花、天花粉を配伍し、癰腫瘡癤を治す。
夏枯草、玄参、貝母を配伍し、瘰癧結核を治す。
解毒散結消腫の効能を増強する。

白芷(ビャクシ)


解表、祛風燥湿、消腫排膿、止痛
1.外感風寒、頭痛、鼻塞に用いる。
防風、羗活を配伍する。例:九味羗活湯。
2.陽明経頭痛、眉棱骨痛、頭風痛、歯痛に用いる。
本品は芳香上達し、祛風止痛する。
単用では、都梁丸である。
川芎、防風などを配伍するのは川芎茶調散で、副鼻腔炎による頭痛を治す。
主薬として、蒼耳子、辛夷などを配伍する。例:蒼耳子散。
3.瘡癰腫脹痛に用いる。
化膿しているがまだ潰れていない瘡、癰を消散させ、すでに潰れている瘡、癰を排膿する。
乳痛に瓜萎、貝母、蒲公英を配伍し、瘡腫に銀花、天花粉を配伍する。
4.婦人の寒湿による帯下に用いる。
燥湿止帯することができる。
常に海螵蛸、白朮、茯苓などを配伍し応用する。
湿熱による帯下にも、黄柏、車前草などを配合する。
皮膚掻痒証にも使い祛風止痛できる。

菊花(キクカ)


疏風清熱、解毒、明目
1.外感風熱および温病初期の発熱、頭痛証に用いる。
本品は上焦風熱や頭目を清することができる。
桑葉を相須し、薄荷、荊芥を配伍する。例:桑菊飲。
2.肝経風熱あるいは肝火上亢による眼赤腫痛証に用いる。
桑葉、蝉退、夏枯草などを配伍し、肝腎陰虚による眼がかすむ証にも用いて枸杞子、地黄を配伍する。例:杞菊地黄丸。
3.肝風頭痛と肝陽上亢による頭痛、めまい証に用いる。
石決明、白芍、釣藤鈎を配伍する。
※外感風熱に使われる場合、黄菊花を使用する。
清熱明目平肝のときは、白菊花を使用する。

車前子(シャゼンシ)


利水通淋、止瀉、清肝明目、清肺化痰
1.水腫、淋病に用いる。
車前子は性味が甘寒瀉痢、利水のほか、清熱もでき、水腫、淋病を治療する常用薬である。
熱淋(急性尿道炎、膀胱炎など)による排尿痛、排尿困難などには、木通、山梔子、滑石など清利湿熱薬を配合する。例:八正散。
2.暑湿による下痢に用いる。
車前子は利水湿でき清濁を分け止瀉する。
すなわち利小便で大便を実する。
湿勝による水様便に適している。
単味で、あるいは白朮、茯苓、沢瀉などを配合する。
3.目赤、角膜混濁、白内障などの眼疾患に用いる。
車前子は清肝明目の作用がある。
肝熱による眼の充血、脹痛には、菊花、竜胆草、黄芩など清肝薬を配合する。
肝腎陰虚の白内障には生地黄、麦門冬、枸杞子など養陰薬を配合する。
4.肺熱咳嗽、痰が多いなどに用いる。
車前子の清肺化痰作用を利用し、よく清肺化痰止咳薬を配合する。

滑石(カッセキ)


利水通淋、清熱暑熱
1.尿量減少、排尿痛、排尿困難などに用いる。
滑石の性は寒で滑、寒は清熱でき、膀胱の熱結を除去し、小便を通利させることができ、湿熱による淋証の常用薬である。
たとえば、熱淋を治療する滑石散は、木通を煎湯して、滑石粉を配合服用する。
淋病を治療する八正散にも配合されている。
2.暑熱による煩躁、口渇、湿温による胸苦、湿熱による下痢などに用いる。
滑石は利湿もできるし、暑熱を清解することもでき、よく暑湿症に用いられる。
甘草を配合すると、六一散となって、上述の病症に使用する。
また他の清暑化湿薬を配伍することもできる。
このほか、湿疹、あせも、瘡瘍などの皮膚病に用いる。
外用として清熱収斂の作用がある。
単味で、あるいは石膏、炉甘石、桔礬などを配合する。

阿膠(アキョウ)


補血止血、滋陰潤肺
1.血虚による眩暈、心悸などの病証に用いる。
本品は良好な補血薬で血虚諸症に適用する。
多くは党参、黄耆、当帰、熟地黄などの補気養血薬と配伍する。
2.吐血、衄血、血便、不正性器出血に用いる。
阿膠は止血の主要薬で、単味で使用しても効果があるが、常に他の薬物を配合して用いる。
『千金翼方』では、蒲黄、乾地黄を配合し、吐血に使用すると述べている。
吐血、鼻出血、血便、不正性器出血には、竈心土、乾地黄、黄耆、附子などを配合する。例:黄土湯。
不正性器出血、月経量の過多、妊娠下血、流産後の持続的な出血には、生地黄、白芍、艾葉炭などを配合する。例:膠艾湯。
3.陰虚による煩躁、不眠などの病証に用いる。
阿膠は、補血のほか、滋陰の作用もある。
たとえば熱病で陰液を損傷したことによる煩躁、不眠を治療する黄連阿膠湯は、阿膠に黄連、白芍、鶏子黄を配合したものである。
4.陰虚肺燥による咳嗽に用いる。
阿膠は滋陰潤肺の効能がある。
たとえば肺陰虚の内熱による咳嗽、咽喉乾燥、痰が少ない、あるいは痰に血が混じるなどに、馬兜鈴、牛蒡子、杏仁などを配合した、補肺阿膠湯がある。
壮熱が肺を損傷したことによる乾咳、無痰、呼吸促迫、煩躁、口渇、咽喉や鼻腔の乾燥などには、生石膏、杏仁、桑葉、麦門冬などを配合する。例:清燥救肺湯。
※阿膠はしつこくて消化されにくいので、脾胃虚弱による食欲不振、消化不良、嘔吐、下痢などには禁忌。

猪苓(チョレイ)


利水滲湿
尿量減少、浮腫、水曜便、淋病、白帯多量などに用いる。
猪苓は甘淡滲泄で、利水作用は茯苓より強い。
およそ水湿が停滞した病症には、すべて用いられる。
古方に単味で使用したことがある。
たとえば『小品方』は妊娠子淋(妊娠中の淋病)を、『楊氏産乳方』は全身浮腫を、『子母秘録』は、妊娠期間の下肢浮腫を治療するのに、みな単味で粉末にしてお湯で服用している。
臨床には、よく他の薬物といっしょに使用する。
たとえば尿量減少、水腫には、茯苓、沢瀉などの利湿薬を配合する。例:四苓散。
陰虚には阿膠、滑石などを配伍する。例:猪苓湯。

麦芽(バクガ)


健脾開胃、行気消食、舒肝、回乳
1.食滞、消化不良、食欲不振、腹部膨満感などの証候に使用する。
麦芽はでんぷん性の食物の消化を助け、特に米、麺類、鋳物食べ過ぎによる消化不良に対し、消化を促進する作用があり、山楂子、神曲、鶏内金などを配合して使用する。
脾胃虚弱による運化無力のものには、補脾益気の薬物を使うと同時に、麦芽を配合して補う作用を果たすことができるし、そのしつこさを減らすことができる。
2.退乳、あるいは授乳を中断したために生じた乳汁のうっ滞による乳房脹痛などの証候に使用する。
毎日、生と炒めた麦芽をそれぞれ30~60g煎じて飲むと、一定の効果がある。
そのほか、麦芽は疏肝の効能もある。
肝鬱気滞、あるいは肝脾不和の証候に、補助薬として使うことができる。

釣藤鈎(チョウトウコウ)


熄風止痙、清熱平肝
1.驚癇、痙攣に用いる。
釣藤鈎には熄風解痙の作用があり、天麻、石決明、全蝎などを配伍して使用する。
もし熱盛による動風であれば、羚羊角、竜胆草、菊花などを配伍して使用する。
2.肝経に熱があり、頭痛、頭重、あるいは肝陽上亢によるめまい、眩暈などに用いる。
釣藤鈎には清肝熱の作用があり、平肝陽の作用もある。
臨床では、夏枯草、黄芩などを配伍し、清肝熱に使用し、菊花、石決明などを配伍して平肝陽に使用する。
また釣藤鈎には降圧作用があり、肝熱陽亢による高血圧に対して、治療効果がよい。

天麻(テンマ)


熄風解痙、平肝潜陽
1.熄風内動、驚癇痙攣などの証に用いる。
天麻は熄風解痙、肝風内動に対する主薬で、また驚風痙攣の証に対して、寒証、熱証にかかわらず、ほかの薬物と配合して使用することができる。
小児のひきつけに対して、釣藤鈎、羚羊角、全蝎などを配合する。例:鈎藤飲。
小児の慢性ひきつけに対して、人参、白朮、白僵蚕などを配合する。例:腥脾散。
破傷風によって生じた痙攣、後弓反張などの症状に、天南星、防風、白附子などを配合する。例:玉真散。
2.肝陽上亢による眩暈、頭痛などの証に用いる。
天麻には著しい平肝潜陽の効果があり、よく釣藤鈎、黄芩、牛膝などを配合して、肝陽上亢による眩暈、頭痛の治療に使用する。例:天麻鈎藤飲。
風痰上擾による眩暈を治療するときには、半夏、白朮、茯苓などを配合する。
たとえば、半夏白朮天麻湯を使用し、頭痛、偏頭痛の治療に、川芎を配合して天麻丸を使用する。
また天麻には祛風湿、止痺痛の効能があり、秦艽、羗活、牛膝、桑寄生などを配合して、風湿痺痛による四肢のしびれ、運動障害などの証に用いる。

白朮(ビャクジュツ)


補気健脾、燥湿利水、止汗安胎
1.脾虚気弱、運化不調による食欲不振、泥状便、脘腹膨満、倦怠無力などの症に用いる。
白朮は補気健脾の主薬で、人参、茯苓、炙甘草などを配合して、脾虚気弱の治療によく使用する。例:四君子湯。
党参、乾姜、炙甘草を配合して、理中湯となり、脾胃虚寒、脘 腹冷痛、泥状便の症状に適用する。
脾虚で胃に不消化物(食滞)があり、食欲不振、脘 腹が脹って苦しいときに、白朮の健脾の効能に、枳実の膨満を除く作用を加えた枳朮丸を用いる。
2.脾虚により水湿停留して痰飲水腫となるなどの証に用いる。
白朮は補気健脾することができ、燥湿利水もできるので、痰飲水腫を治療する良い薬物である。
たとえば、桂枝、茯苓、炙甘草を配合した苓桂朮甘湯は、痰飲を除くことができ、陳皮、大腹皮、茯苓皮を配合して水腫を消退することができる。
3.脾虚による水湿停留して痰飲水腫となるなどの証に用いる。
白朮には益気健脾、固表止汗の効果があり、黄耆に浮小麦を配合して自汗症に用いる。
4.妊婦の脾虚気弱、胎気不安証に用いる。
白朮には補気健脾による安胎の効能があるので、妊婦に使用することもできる。
妊娠して内熱があれば、白朮に黄耆を配合して、清熱安胎の効果を用いる。
気滞胸原膨満を兼ねる者に、蘇梗、縮砂、陳皮などの理気薬を配合する。
気虚倦怠無力を兼ねる者に、党参、茯苓、炙甘草などの補気薬を配合する。
血虚、眩暈、動悸を兼ねる者に、熟地黄、当帰、白芍などの補血薬を配合する。
腰がだるい、腹部が痛い、胎気不固を兼ねるものに、杜仲、川続断、阿膠などを配合して、保胎の効能を強めて用いる。
※白朮には燥湿傷陰の作用があり、中焦有湿の症に適する。
陰虚内熱あるいは津液消耗による燥渇者には禁忌とすべきである。