2017年9月20日水曜日

赤芍(セキシャク)




清熱涼血、祛止痛
1.温熱病で熱在血分による身熱、発斑疹および血熱による吐血、衄血などの証候に用いる。
犀角、生地黄を配伍する。例:犀角地黄湯。
2.血滞による経閉、痛経および打撲捻挫による瘀滞腫痛証に用いる。
当帰、牡丹皮、川芎を配伍する。例:滋血湯。
活血通経の効能がある。
もし、打撲捻挫による瘀痛に用いるときには、桃仁、乳香、紅花などを配伍する。
3.癰腫、目赤腫痛などに用いる。
癰腫疔毒を治すとき、金銀花、黄連、蚕休を配伍する。例:奪命丹。
肝熱による目赤を治すときに、菊花、木賊、夏枯草などを配伍する。
このほか、熱淋、血淋および赤痢などの血熱証にも用いる。

熟地黄(ジュクジオウ)


養血滋陰、補精益髄
1.血虚による顔色の萎黄、眩暈、動悸、不眠、月経不順、不正性器出血などの病証に用いる。
熟地黄は補血の主要薬である。
常に血虚証と婦人の月経不順に使用する。
たとえば、当帰川芎白芍を配合した四物湯は、補血調経の基本方剤となっている。
臨床では、違った病証によって加減して使用する。
2.腎陰不足による潮熱、盗汗、遺精、消渇などの病証に用いる。
本品は、滋陰の主薬でもある。
たとえば、六味地黄丸は、山薬山茱萸などを配合して、腎陰不足による各証候に使用される方剤である。
このほか、精血虚虧による腰がだるい、下肢の無力、頭のふらつき、目のかすみ、耳鳴、難聴、病的白髪などにも用いられる。
これは、本品の補精益髄の効能を利用したものである。
 
※熟地黄は生地黄より滋潤性がありしつこいので、消化を障害しやすい。
湿阻気滞による痰多、腹が脹って痛む、食欲不振、泥状便には禁忌である。

栝楼仁(カロニン)


瓜荽皮:清肺化痰、利気寛胸
瓜荽仁:潤肺化痰、滑腸通便
瓜荽全体:以上の効果を兼ね備えている
1.肺熱咳嗽、粘稠な痰で喀出できない証に用いる。
瓜萎は甘寒で潤なので、清肺潤燥の作用がある。
清肺泄熱、化痰止咳の知母、浙貝母などと配合して、痰がすっきりと喀出できない症状に適している。
痰熱内結による痰が黄色で粘稠、胸部苦悶、便秘などの症に対して、瓜萎仁に黄芩、胆南星、枳実などを配伍する。例:清気化痰丸。
2.瓜萎は寛胸理気散結の作用があるので、胸痺、結胸、胸膈痞悶などの症に用いる。
たとえば瓜萎薤白半夏湯は、宣痺化痰の薬と配合されたもので、胸痺の治療に用いられる。
また半夏、黄連を配合した小陥胸湯は、痰熱結胸、胸脇痞満の治療に用いられる。
最近では瓜萎が、冠状動脈硬化心臓病の治療に用いられて、良い効果が報告されている。
3.腸燥便秘に用いる。
瓜萎には潤腸通便の効能があるので、瓜萎仁に火麻仁、郁李仁、枳殻などを配合して使用されている。
また、全瓜萎に蒲公英、乳香、没薬などを配合して乳腺炎に使用される。
 
※烏頭との配合は禁忌。

2017年8月29日火曜日

蓮肉(レンニク)


補脾止瀉、益精固腎、養心安神
1.脾虚による慢性下痢、食欲不振に用いる。
多くは人参、白朮、茯苓、山薬などを配合する。例:参苓白朮散。
2.腎虚による遺精、滑精に用いる。
たとえば遺精、滑精を治療する金鎖固精丸は、蓮子に沙苑子、竜骨、牡蠣、蓮鬚などを配合したものである。
3.心腎不交による煩躁、動悸、不眠に用いる。
麦門冬、茯神、柏子仁などの清心安神薬を配合する。
このほか、不正性器出血、帯下過多などの病症に用いられる。
その益腎、固渋の作用を利用する。
※便秘の者は服用しない方がよい。

茶葉(チャヨウ)


祛風、清爽頭目、清熱降火、解暑、解熱毒、止痢、利水
傷風による頭痛、鼻閉、風熱上攻による頭痛、めまい、目の充血などに、薄荷、川芎、白芷、荊芥などと用いる。例:川芎茶調散。
傷暑による頭痛、口渇に用いる。
熱痢・熱瀉に、単味で使用する。
尿が出ないときに、単味で使用する。

山楂子(サンザシ)


消食化積、活血散瘀
1.食滞による腹部膨満感、腹痛、下痢などの証候に使用する。
山楂子の味は酸、甘で、性は温で熱はない。
脾を助け、胃を健やかにし、消化を促進する作用があり、油っこいものによる食滞を化する要薬である。
食滞には、神曲、麦芽を配合して消食化積の力を強め、腹部膨満感を兼ねてみられるものには、木香、枳殻などを配合して行気消滞する。
飲食不摂生による腹痛、下痢には、焦山芎子を10g粉末にし、お湯で調服し、消食止痢する効能がある。
2.産後の瘀阻による腹痛と悪露過多、および脱腸による下腹部の牽引脹痛などの証候に使用する。
山楂子は血分に入り、活血、散瘀、消腫の作用があり、前者に対して、当帰、川芎、益母草などを配合し、後者に対しては小茴香、橘核などを配伍して使用する。
そのほか、ここ数年来、臨床で山楂子は高血圧、冠状動脈硬化性心臓病および高脂血症の治療によく用いられている。

茵蔯蒿(インチンコウ)


清熱除湿、退黄疸
黄疸に用いる。
茵蔯蒿は苦泄下降し、清利湿熱の効能があるので黄疸を治療できる。
湿熱による黄疸にかぎり主薬とすることができる。
単味で大量に煎じて服用するか、大黄、山梔子を配合する茵蔯蒿湯を使用する。
顕著な尿量減少があれば、他の利湿薬を配伍する。例:茵蔯五苓散。
寒湿による陰黄には、相須である附子、乾姜などの温中薬を配合すべきである。例:茵蔯四逆湯。
このほか、湿疹掻痒なとに用い、清利湿熱の作用を利用する。
煎湯して内服し、あるいは患部を洗う。

蘇木(ソボク)


活血祛瘀、消腫止痛
血滞による無月経、産後悪阻による腹痛及び打撲損傷などの証候に用いる。
活血通経、散瘀止痛の効能を持つ。
婦人科の血滞悪阻の証候には、紅花、桃仁、当帰などを配合し、整形外科の打撲損傷による瘀痛には、よく乳香、没薬、血竭、自然銅などを配合する。例:八厘散。
※妊婦には使用しない。
傷科の主薬であり、婦人科にもよく用いる。
跌打損傷の瘀腫疼痛、婦女の血滞経閉痛経、産後瘀阻などに適する。
なお、「表裏の風気を発散す」といわれ、祛風和血の効能を持つので、古くは中風、破傷風に、近代は風疹掻痒に用いている。

百合(ビャクゴウ)


潤肺止咳、清心安神
1.肺陰虚、肺熱による咳嗽、喀血に用いる。
肺熱による慢性咳嗽、痰に血が混じるなどには、款冬花を配合する。例:百花膏。
肺陰虚による咳嗽、咽痛、喀血には、乾地黄、玄参、貝母などを配合する。例:百合固金湯。
2.煩躁、動悸、不眠、多夢に用いる。
発熱性疾患の回復期で余熱が残っていることによる前述した症状には、知母あるいは地黄を配合する。例:百合知母湯。百合地黄湯。

枇杷葉(ビワヨウ)


化痰止咳、和胃降逆
1.風熱燥火による咳嗽に用いる。
枇杷葉は清肺化痰、降気止咳ができるので、前胡、桑葉などを配合して、風熱による咳嗽に、桑白皮、沙参などを配合して、燥熱による咳喘に用いる。
2.胃熱による口渇、嘔吐、呃逆などの証に用いる。
枇杷葉には清胃熱、止嘔降逆の作用があるので、よく麦門冬、竹筎、芦根などを配合して使用する。

山椒(サンショウ)


温中、止痛、殺虫
1.脾胃虚寒証に、腹部の冷痛、嘔吐、下痢などに用いる。
花椒は温中止痛、暖脾止瀉の作用がある。
脾胃虚寒、脘腹冷痛、嘔吐には、人参、乾姜、飴糖などを配合する。例:大建中湯。
また単味で熱くなるまで炒めて、布袋に入れて痛いところを温熨する。
もし、寒湿による下痢には、蒼朮、厚朴、陳皮などを配伍する。
2.回虫による腹痛、嘔吐などに用いる。
本品は殺虫止痛作用がある。
単味で、あるいは複方で使用する。
常に烏梅、乾姜、黄連などを配伍する。例:烏梅丸。

膠飴(コウイ)


補脾益気、緩急止痛、潤肺止咳
1.疲労しすぎたことで生じた脾虚、気短無力、食欲不振などに適する。
飴糖には補脾益気の効果があり、桂枝、白芍、炙甘草などを配伍する小建中湯は効果がある。
2.虚寒の腹痛、喜按、喜温、食べると痛みが減るなどの虚寒に用いる。
飴糖には補虚緩急止痛の作用があるので、小建中湯は虚寒の腹痛にも有効な方剤である。
飴糖に花椒、乾姜、人参を配伍した大建中湯は虚寒の胸腹の激痛に治療効果がある。
3.肺虚による乾咳、無痰、気短、喘息などに用いる。
飴糖には補虚潤肺止咳の作用があり、単独で使用するか、杏仁、百部などの止咳平喘薬と一緒に使用する。
また民間では、稲ののぎや魚の骨を食べてしまったときに飴糖を頻回に食べると、胃腸の保護や稲ののぎや魚の骨の排出の助けになるとされている。
※飴糖は甘いので、湿熱、腹部の膨満を生じやすいので、湿熱内鬱、?腹膨満、嘔吐、痰熱、咳嗽、小児消化不良などには使用しない方がよい。

杜仲(トチュウ)


補肝腎、強筋骨、安胎
1.肝腎不足による腰や膝のだるい痛み、あるいは無力などの病症に用いる。
杜仲は肝腎を補い、筋骨を強めることができるので、前述の病症を治療する腫瘍薬となる。
よく破故紙(補骨脂)、胡桃肉などと配伍する。例:青娥丸。
また、肝腎虚寒によるインポテンツ、頻尿などに用いられる。
山茱萸、莵絲子、破故紙(補骨脂)など温補固渋薬を配合して使用する。
2.切迫流産あいは習慣性流産に用いる。
肝腎が不足すれば、正常の妊娠に影響を与える。
杜仲は肝腎を補うことができるので、流産防止作用がある。
たとえば切迫流産に使用する杜仲丸は、杜仲の粉末と大棗とを丸剤にしたものである。
『簡便単方』では、川続断、山薬を配合して習慣性流産に用いることが述べられている。
このほか、白芍、石決明、夏枯草、黄芩などを配合して肝陽上亢による眩暈を治療する。
※陰虚火旺証には慎重に用いる。